INTERVIEW インタービュー

スマイルテニスプロジェクトを届ける理由
こんにちは。プロテニスプレーヤーの鮎川真奈(あゆかわ まな)です。
私はいま、プロテニスプレーヤーとして世界各地で戦いながら、子どもたちに「スマイルテニスプロジェクト」を届けています。
学校の授業などの場を中心に、子どもたちに対して夢を持つ大切さやテニスの魅力を伝えています。
なぜ現役のうちからプロジェクトを届けるのか?と思われるかもしれません。
プロならばプレーに専念するべきだ!と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私にはこのプロジェクトを届けなければならない理由があります。
今回「スマイルテニスプロジェクト」に込めた想いをインタビューをしていただきました。

頭から離れなかった物乞いの男の子
ーー鮎川選手は「スマイルテニスプロジェクト」を通して、子どもたちに夢や希望を持って欲しいという願いを持ってらっしゃいますよね。その想いが強くなったきっかけは何だったのですか?
14 歳の時に遠征でフィリピンに行く機会がありました。その時に「自分は恵まれた環境にいるんだ」と、ハッとさせられて。
ーーそうだったんですね...フィリピンでどんな経験をされたんですか?
外食をしていた時に、ボロボロの服を着た小さな細身の男の子が、窓ガラスをバンバン叩いて、私たちが食べていたピザを指さして叫んでいる。物乞いの男の子 だったんです。そんなことが毎日のようにあって...衝撃的でした。食べ物をあげることは簡単だけども、あげてしまうのは良くないと聞いて我慢しました。でも、もし自分がその男の子の立場だったら、本当に辛いだろうな...と。
ーー 14 歳という多感な時期に衝撃的な経験をされたのは、鮎川選手にとって大 きな経験でしたね...。
そうなんです。その経験をしてから「夢を追いかけられる環境にいる」ということに感謝するようになりましたし、もっとたくさんの人が夢に向かって挑戦して 欲しい...という気持ちが湧いてきました。それが自分の希望です。
ーー日本に帰国してからも、折に触れて思い出すことが多かったのですか?
そうですね。その後も遠征で東南アジアの国に行くことが多くて、同じような光景を目にすることが多かった。やっぱり、その度に気づかされました。 もっと多くの人が夢を追いかけるためにはどうしたらいいんだろう...とずっと考えていて。 自分はプロとしてプレーするだけでいいのか?と考えたら、そうではないと思いました。何か他の形で、自分が伝えられることはある...と思ったんです。

子どもたちに ” 達成感 ” を味わって欲しい
ーーその 1 つの形が「スマイルテニスプロジェクト」なんですね。具体的にはどんなことをさ れているんですか?
小学校の体育の授業の一環で、 テニスの授業をさせてもらっています。
テニス以外では、「言葉」で伝えることもさせていただいています。
私のこれまでの経験やプロになるまでのプロセスで学んだことをお伝えしています。
今後は学校だけでなく、様々な場所でより多くのみなさんにお伝えしていきたいです。
ーープロジェクトを通じて、子どもたちにどうなって欲しいと思っていますか?
子どもたちが「スマイルテニスプロジェクト」を通して ” 達成感 ” を味わって欲しいんです。
一つの目標を目指して頑張ることが、どれだけ人生を充実させてくれるのかを子供たちに感じて欲しいと思っています。
それを感じた上で、一つでも何か目標を持って将来の人生を生きてほしい...というのが、私の願いです。

プロジェクトを通じてやりがいを感じる瞬間
ーープロジェクトを通じて「やっててよかった!」と思うのはどんな時でしたか?
子どもたちの純粋な姿を見た時ですね。本当に子どもたちは純粋なんです(笑)。
授業が終わった時に「テニスってこんな楽しいんだね!」って自分が聞く前に言ってくれる。
自分のやっていることは無駄じゃないんだなと思った瞬間でした。習い事としてもっとテニスをやってみたいと言ってくれる子もいました。
そういう子がひとりでもふたりでもいてくれることが、私のやりがいです。
ーー素敵ですね。
授業だからこそのメリットもあると思うんです。
普段一緒に過ごしているクラスメイトと取り組むことができるじゃないですか。これが初対面の子達が集まってやるのとはまた違います。
普段一緒に過ごしているからこそ、競争意識やチームで何かを達成するする喜びがあると思います。学校の授業としてプロジェクトをおこなう魅力の一つです。

現役のプロ選手としてプロジェクトを行う理由
ーー鮎川選手は「現役」としてプロジェクトを届けたり、ジュニア世代の選手たちにコーチングをおこなっています。「現役」のいま、プレー以外の活動をする理由は何なのでしょうか?
一つは「伝える」だけでなく「見せる」ことができること。引退してしまうと見せられないものがあります。今のプレーの質で見せることができる。
それから、現役としてプレーする中で感じたことを、タイムラグ無く率直に伝えられます。引退した後に「あの時はね...」と伝えるのと、現役のいま「先週こんなことがあってね...」と伝えるのでは、大きな差があると思うので。
ーー聞く側からすると、リアリティが違いますよね...。
それからもうひとつの理由は「自分のため」でもある...と思っています。
教えることや伝えることで、自分の考えを整理できていた...と感じることがす
ごく多いんです。「原点に戻る」ような感覚。その時間は現役の自分にとって大切なものです。
ーー子どもたちとの触れ合いを通じて、鮎川選手自身も学んでいるんですね。
それから、自分のことをもっと知って欲しいという気持ちもあります。子どもたちと直に触れ合うことで、私自身が応援してもらえるような存在になりたい。
私が子どもの頃に憧れた選手たちのように、私が子どもたち憧れの存在になれたらな...と思っています。

「やりたいことが見つからない」子どもたちの力になりたい
ーー鮎川選手が子どもたちを見ていて「助けになりたいな」と思う瞬間はどんな時なんですか?
「なんとなく生きている」「なんとなく日々が流れていっている」...そんな子どもたちが大人になった時に「何をもって幸せなのかがわからない」という状態になってしまったり、「これをやりたい!」というものが見つけられない...となることが多いという話 を聞いて。
プロジェクトを通じて子どもたちと接している時にも、ただ見ているだけというか「やりたい!」という気持ちが出てこない子どもを見ると、なんとか力になりたい...という気持ちが湧いてきます。
そういう子ども達にこそ、プロジェクトを通して達成感や楽しさを感じて欲しい。なんでもいいから没頭できるものが見つかるきっかけになって欲しいと 思っています。
ーー「やりたいことをやってほしい」という想いは、どこから生まれているんですか?
やっぱり、世界中の子どもが置かれている状況について、自分が目にしたことや情報・映像がずっと頭から離れないので...。
「やりたいことが見つからない」って贅沢な悩みだと思うんです。その悩みを「何かに取り組む中での悩み」に変えてほしいなと思います。まずは小さくてもい いから、一歩を踏み出して欲しいと思っています。
やりたいことを見つけ出したり、引き出したりしてあげられる存在でありたいと思います!
PROJECT DETAIL
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PROJECT スマイテニスプロジェクト
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PROGRAM トライアングルプログラムについて
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